個性的なセッション

ITP Campでは参加者(=Camper)それぞれの得意とする分野が異なります。各々がセッション分野の初心者にもなりうるため、入門的なセッションが多くあり、学生の皆さんのような技術的なバックグラウンドはない職員でも、躊躇なく参加できる雰囲気がありました。

キャンプ中に開催されるセッションは、ITPが用意するものだけではなく、Camperも自由に開催することができます。キャンプ期間中に思い立ったら開催することもできるため、開催されるセッション数は日々増えていきます。(昨年度の開催数は約200!)

実際に、Camper同士で話をしたり一緒に何かを学ぶ中で、初めは開催を予定していなかった人も自分のセッションを計画し始めたり、他のCamperから「その分野について学びたいからセッションをやってよ!」と言われてセッションが立ち上がる、そんな場面も目撃しました。バックグラウンドが異なる人同士での学びの場ならではだと感じました。

早いものでITP Campも約3週間経ったところで、これまでの個性豊かなセッションをいくつかご紹介します。

◆Story Quilt Workshop

布を使った作品を通して物語を表現する、というワークショップです。セッションの冒頭では、主催者の自己紹介ビデオを視聴しました。文化的なバックグラウンド、家庭環境、その中でどのようなことに興味を持ち、どう育ったかといった内容でした。それを表すシーンを作品にしたものがこちら。

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ビデオの内容やお話してくださったストーリーが作品から伝わってくるようでとても素敵です。そして、セッションはワークショップ形式になっていて、実際に自分で作品をつくってみよう!というもの。

作り方は、だいたいこんな感じ ・型の見本の上に薄い紙を載せて形をなぞり、カットして型をつくる ・それぞれのパーツについて好きな色・模様の布を選ぶ ・型を布にのせ、型になぞってカットする ・それぞれのパーツを土台の布にのせる ・アイロンでプレスして布を土台の布にくっつける

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セッションリーダーの方がそれぞれ解説しながら実際に作業しているところをカメラで写して見せてくれます。 できたものがこちら・・・

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なんとか形になりました!作り終わったらセッションリーダーが参加者全員に一人一人の作品を見せて褒めて、みんなも歓声をあげて他の人が作ったものを褒め合っていたのが印象的でした。 このあと、土台の布を複数重ねて周りを縫い付ける作業がありましたが、用事があったため私が参加したのはここまでです。 このセッションには一人で参加したのですが、後で尼研の学生さんたちに見せたらすごく褒めてくれて、これも嬉しかった思い出です。

◆植物を植えるセッション

ITP Camp のフロアのエレベーターの脇にベランダがあるのですが、そこにある花壇に植物を植えよう!というもの。その日は別のセッションに参加して一度フロアを出ようと通りがかったところでこのセッションをやっているのを発見し、声をかけて写真を撮らせていただきました。

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セッションリーダーの方が植物を通して叶えたい今後の夢を語っていて、参加者が熱心に聞いたり質問したりしていた姿が印象的でした。

なお、後日Camp中に、セッションリーダーの方がしばらくITPに来れないのでその間植えた植物に水をやってくれるボランティアを募集します!というメールがCamper全員に届きました。みんなでフォローし合うのもITP Camp流なのでしょうか。 ちなみに、ITPではバイオアートの研究がされていることもあり、フロア内にも植物が多数あります。

◆Brooklyn散策

ITP Campには、off-campusセッションなるものがあります。フロアのエリアで行うのではなく、フロアを離れてフィールドワークをしたり、ブルックリンを離れてマンハッタンで行われるものもあります。

このセッションは、私が仲良くなったITP職員でITP Campの CoordinatorであるDaveさんにより開催された、土曜午前中のセッションです。Daveさんは毎朝ブルックリンを散歩してからITPに出勤するそうなのですが、その散歩コースをみんなにも紹介するよ!というもの。

休日ということもあり、参加者は少なく4人でした。他にCamperの方が2名と、そのうち1名の奥様も参加されていました。 皆さんニューヨークに最近から住んでいるけど、この周辺はよく知らないので参加したとのこと。学校の裏側を歩いただけなのですが、私もそちらには初めて行ったので色んな発見がありました。 休日なので、マーケットをやっていました!野菜やお花などが売られています。

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余談ですが、ニューヨークではいたるところの公園で休日の朝にマーケットをやっています。東京では表参道のファーマーズマーケットくらいしか馴染みがなかったので、近所の色んなところでやっているのは新鮮です。 また、ニューヨークには広くて芝生のある公園がたくさんあって、たくさんの人がランチをしたり、日光浴をしています。休日にはイベントが開催されているのをよく見ましたが、一番衝撃的だったのはこれ。

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たまたま通りがかった、タイムズスクエア近くのニューヨーク公立図書館が隣接されたBryant Parkです。芝生に大きなステージがあり、そこにヨガのインストラクターが1人。それを見ながら何百人、何千人(!?)の人々が隙間ないくらい芝生に並び合い、ヨガをしていました。規模が大きすぎてびっくり。

話をセッションに戻します。立派な教会がありました。

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この通りは、ブルックリンで最もセレブな通りらしいです。

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こんなに近くに、こんなに綺麗な景色が見れる場所があったなんて!近くで買ったベーグルをみんなで食べて話をしながら、川越しに見えるマンハッタンの景色を楽しみました。

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こんな感じで、ただ朝のお散歩に同行するというシンプルなものでしたが、ニューヨーカーの生活の一部を体験させていただき良い経験になりました。 Daveさんに限らず、ニューヨークに住む方は皆さん例外なく、ニューヨークの魅力をたくさん伝えてくれます。ニューヨークという街に誇りを持っているのが伝わってきます。紹介されたオススメの場所がありすぎて、滞在中にはとても回りきれません。

ちなみに、後日の朝に私も真似して新たなベーグル屋さんを探しながら近所を散歩していたら、出勤前に散歩するDaveさんに会いました。本当に毎朝散歩しているみたいです。私も真似してみたと伝えたら、嬉しそうにしてくれました。

◆金曜夜のセッション

金曜夜は毎週みんなで集まり、その週の成果などを語り合うセッションが開かれます。ピザ、餃子などの軽食やノンアルコールのドリンクが出て、食べながら自由に語り合います。 冒頭では、1人一言でその週の感想を発表。我らが尼研の学生も言いたいことをまとめて、しっかり伝えていました。

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4週間のうち1~2週目は参加者同士の歓談を通して輪を広げることができました。4週目には任意でのプロジェクト発表があるので、プロジェクトを行う人はそれについて語り合ったりもしているようでした。

実は私も、せっかくだからプロジェクトに挑戦してみたいと思いつつも、一人でできるほどの技術はないし…と様子を見ていたのですが、なんと尼研の兼松さん、清水さんが「チャレンジしてみたらどうですか?」と背中を押してくれました。自分で声をかけるくらいの積極性を持つべきだったと思いつつも、気持ちを読み取ってくれたようでとても嬉しかったです。背中を押してくれて、巻き込んでくれて、ありがとうございます!

ということでお二人の力を借りながら(というか寄りかかりながら)プロジェクト作業を始めていますが、一緒に作業していると色んな視点、思考のプロセスが見えて本当に楽しいのです。考えてみたら、私は完全な文系出身で、学生時代には同じゼミの友人と一緒に研究や論文に打ち込んだ経験はあるものの、お仕事以外で異なる分野の人と一緒に、このような分野について何かを一緒に作り上げる経験は初めてです。学生の皆さんのパワーを近くで実感できる、本当に貴重な経験をさせていただいていると感じています。このことについては長くなるので、無事にプロジェクトが終了したら記事にして投稿したいと思います。(無事に完成できますように!)

このように、人と人がつながるきっかけ、対話により何かの取り組みが始まるきっかけを生むセッション(および美味しい軽食)が、ITP Campでは用意されています。

他にも紹介しきれないくらい個性的なセッションがたくさんありますが、1週目にはまだ見なかったワクワク感のようなものを感じることができた、3週目の終わりでした。


Edit: 2024-06-24
Editor: staff
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