Daniel Rozin Contours へ行こう
ニューヨークについて5日目,Daniel Rozinのオープニングレセプションが行われるということです.印象的な出来事が起こりすぎて興奮冷めやらぬ1日でした. 映像で何度も見てきたアーティストのオープニングに立ちえるのは数少ない機会なのでとても楽しかったです.
Daniel Rozinをご存知ない方向けにいくつかURLを貼りますね. [DANIEL ROZIN]https://www.smoothware.com/danny/index.html(link) [NYU]https://tisch.nyu.edu/about/directory/itp/95804818(link)
しばしばゼミや授業でも話題に上がる作品をいくつも作っている方なのでアートと研究の両方から注目されています.
自分の参考文献には絶対と言っていいほどいる人物なので楽しみ半分緊張半分です. 展示が行われるbitforms galleryはさりげなくニューヨークに佇んでいました.
中に入るとまずは「Straps Mirror」が展示してありました.もう開いた口が塞がりません.仕組みはとてもシンプルでも,描画に見入ってしまうのがDaniel Rozinの素晴らしいところだと思っています.この作品も例に漏れず,人の視線を釘付けにする魅力があります.入り口にの近くに設置されているので入ってくる人の邪魔になりながらしっかり見てしまいました.
次に展示してあったのは「RGB Lights Mirror」です.この作品は3箇所からRGBのライトに照らされており,ピクセルとなっている板の角度を変化することで鑑賞者に映し出す色を変化させています.色鮮やかに色が切り替わる描画は見ていてとても気持ちがいいです.作品中央にあるカメラから深度を読み取って描画しているようですが,レスポンスがとても速いのが印象的でした.かなりの速さでモータが回っているはずですが,作品鑑賞の邪魔にならないくらい静かに動作しています.モーターの音にもこだわりを持って制作されているのが伝わってきます.
入り口からの通路の突き当たりには「Contour Mirror」が展示してありました.この作品は,前にたった人の輪郭を黄色いキャップにより表示しています.単一の機構を多数連結させて表現された2本の黄色い線の動きが気持ちいい作品です.人が立っていない時にはパターンを表示するように動いていて背景の黒も相まって2本の黄色い線が3次元空間に浮かんでいるようでした.
Contour Mirrorの隣には「Twisted Strips」が展示されています. この作品は動画で何度も見ていましたが,実際に見ると度肝を抜かれます.バンドを捻る機構を並べているシンプルな作りですが,そこからさまざまなパターンが映し出されます.どのパターンの動きもとても滑らかで実際に見ることができてよかったです.自分も紐を使ったディスプレイを作りましたが,完成度が桁違いでした.自分の作ったものと比べると改善案がいくつも浮かびますね.
bitforms galleryの一番大きく区切られた部屋には「One Candle Mirror」が展示されています. ミラーの背後にある光を直接見ているはずですが全く眩しくありません.部屋全体が暗くなっているので作品が映し出す像だけを集中して見ることができます.1流のアーティストが行うインスタレーションを実際に体験することができて感動的な空間でした.
ギャラリーの一番奥には「Darwinian Rotating Lines Mirror」をはじめとした2次元の作品が展示してあります.実世界に存在するものを使ったディスプレイ作品を見た後にプログラムにより作られた作品を見ることで両方の持つ良いところが際立ち,磨き合っているのを感じます.映し出される映像も洗練されていて,どんなコードが書かれているのか見当がつきません.
ワインが飲める
ギャラリーの奥にはワインが飲めるバーが設置されていました.帰りはワイン片手にもう一度作品が鑑賞できるのはとても贅沢ですね.ワイン片手に作品を見ることにしました.
衝撃
ワインを片手に作品を見ていると衝撃の人物に出会ってしまいました. シカゴ大学でAx Labを設立された中垣拳さんと会場内で出会ってしまいました.もう頭は真っ白心臓はばくばくです.心拍数が上がってワインが回っていく感覚がはっきりしています.もう何も考えられません.ここがニューヨークであるということも忘れてしまいそうです.足元に溢れているワインが自分のものでないことを祈ります.形状変化ディスプレイの研究では必ず引用されると言っても過言ではないinFORMを作ったDaniel Leithingerに紹介されて一緒にいらしたそうです. また,クリエイティブコーディングのチュートリアルを数多く紹介しているCoding Trainでお馴染みのDaniel Shiffmanが気づいたらすぐ近くにいらっしゃいます.動画と同じ声,同じジェスチャーで感動です. なんでしょうかこの空間は...神様しかいない.とんでもない空間にいることに実感が追いつきません.今日だけでもニューヨークに来た甲斐がある気がします.
ニューヨークという街の魅力と力を実感した日でした.日常的に偶然の出会いが生まれる街ですね.